軽巡洋艦「長良」潜水調査を行います

軽巡洋艦「長良」が眠る海域へ、最新のテクニカルダイビング技術を用いて人が初めて到達する。
未踏の沈船に挑み、その構造と状態を水中写真家・清水 淳による高精度なビジュアル記録として科学的に残す潜水調査プロジェクトが始動する。
第二次世界大戦下、アメリカ潜水艦の魚雷攻撃により、熊本県天草諸島西方沖で沈没。
1944年(昭和19年)8月7日。
軽巡洋艦・長良は、鹿児島を出港し佐世保へ向かう航行の途上、熊本県天草諸島西方の海域において、アメリカ潜水艦クローカーの雷撃を受けました。
クローカーの後部発射管から発射された4本の魚雷のうち、1本が長良の右舷後部に命中し、艦はほどなく沈没しました。
この攻撃により、中原艦長以下348名が戦死し、237名が救助されています。
沈没していく長良の様子は、攻撃を行ったクローカーによって、カラー映像として記録されました。
沈没後、長良に対しては有線式の水中ビデオカメラによる撮影記録が残されています。
一方で、有人による潜水調査および撮影については、これまでに試みられたものの、いずれも成功には至っていません。
現在、私たちは専門的な潜水技術と調査体制のもと、この海域における潜水調査を計画しています。
本調査は、深海かつ潮流の影響を受けやすいという厳しい条件下にある沈没地点において、艦の現状を可能な限り正確に記録し、歴史的事実として後世に残すことを目的としています。
慰霊への配慮と調査者としての責任を両立させ、安全を最優先に、慎重に準備を進めてまいります。


アメリカの潜水艦「クローカー」から撮影された長良
長良の沈没位置、水深
長良の沈没した座標は
北緯三十二度十二分
東経百二十九度五十一分
水深約90m、最大120m

調査チームメンバー紹介
伊左治 佳孝(いさじ よしたか)
水中探検家/プロジェクト・オーガナイザー(統括・潜水調査)

前人未到の水中領域への探検をライフワークとし、水中洞窟、沈船、大深度潜水など、未踏領域における探検活動を国内外で継続的に実施している。
海外の探検プロジェクトにも積極的に参画し、国境を越えたテクニカルダイビングおよび水中探検のコミュニティ形成に貢献してきた。
現在は、水中探検の最前線で培った実地経験をもとに、未踏領域に対応可能な数少ないテクニカルダイビングインストラクターとして後進の育成にも携わっている。
本調査では、プロジェクト全体の統括(Organize)を担い、計画立案、チーム編成、調整および実施判断を担当する。
森 裕和(もり ひろかず)
プロダイバー / テクニカルダイバー ・ダイビングインストラクター (潜水サポート)

プロダイバーとしてテクニカルダイビングおよび指導に従事する一方、宇宙分野を中心とした経営コンサルタントとして活動。
日・米・英の企業、研究機関、政府関連組織において、代表・役員・理事など約10の職務を併任する。
英国エジンバラ大学理論宇宙物理学部に飛び級入学し、首席で卒業。エジンバラ王立協会の支援を受け、重力波および修正重力理論を中心とした理論宇宙論の研究に従事した。
本調査では、高度潜水環境における技術的検証、安全性評価、ならびに全体のリスクマネジメントを担当する。
誉田 康平(ほんだ こうへい)
テクニカルダイバー/水中フォトグラファー (陸上サポート・ドキュメント記録)

高校時代にダイビングライセンスを取得し、大学卒業後に本格的にダイビングを開始。
水中写真を通じて海洋環境の記録を行い、これまでに海外20カ国、沖縄36の離島で潜水経験を重ねてきた。
清水 淳主宰の水中写真教室「マリーンプロダクト」にて、水中写真およびテクニカルダイビングを体系的に学ぶ。
本調査では、テクニカルダイビングによる現場撮影および記録補助を担当する。
清水 淳(しみず じゅん)
水中写真家/テクニカルダイビング・ディレクター(撮影・潜水調査)

水中写真家として、沈没船、洞窟、深海域など高度な潜水技術を要する環境での撮影を専門とする。
テクニカルダイビングに精通し、撮影計画と潜水計画を一体として設計・運用することを特徴とする。
水中写真教室「マリーンプロダクト」を主宰し、「Photo & Tech」をコンセプトに、表現と安全性の両立を重視した技術指導を行ってきた。
本調査では、撮影全体のディレクション、潜水計画の立案、安全管理および記録手法の設計を担当する。
調査日程
【事前調査】
2025年12月21日〜22日
現地調査(天草市牛深町)
天草市社会福祉協議会様との打ち合わせ
【潜水調査】
2026年 7月20日〜 22日 第二回潜水調査
2026年7月7日〜9日 第一回潜水調査
2026年7月20日〜22日 第二回潜水調査(予備日程)
潜水調査に向けて
私たちは現在、遺族の皆様、そして長年にわたり慰霊祭を執り行ってこられた天草市社会福祉協議会の方々と向き合いながら、潜水調査の計画を一歩ずつ慎重に進めています。
多くの想いが重なってきたこの場所に、どのように向き合うべきか――その問いを胸に、風や潮流が相対的に穏やかになる時期を見極め、2026年7月の第一小潮(7月7日〜9日)を第一候補として関係者との調整を行っています。想定していた日程が海況不良で中止の場合には、7月の第二小潮(7月20日〜22日)としています。海況と安全要件を十分に満たすことを前提に、最後まで熟慮したうえで決定いたします。
沈没地点は水深約90メートル、海図上では最大120メートルに達する深海です。
加えて、外洋特有の強い潮流が予想されることから、本調査は技術的にも精神的にも、極めて高い覚悟を要する潜水となります。
それでもなお、この調査に挑む理由があります。
海底に眠る記録は、慰霊を続けていくための礎であると同時に、戦争という現実を、言葉ではなく「事実」として次の世代へ手渡すための、かけがえのない一次資料となり得るからです。
私たちは、海底に刻まれた歴史の「いま」を、可能な限り正確に、そして誠実に残したいと考えています。
失われた命への敬意を胸に、安全を最優先としながら、一つひとつの準備を重ねてまいります。






本プロジェクトへの取材申込
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株式会社マリーンプロダクト
担当:清水
お問い合わせ→こちらから
マリーンプロダクト
〒900-0003 沖縄県那覇市安謝2-2-8 ルナシティ1F

